夏の日の夜のみずうみの水に
あの日の手紙が舞い降りてくる
手のひらにあざやかなひかりをもって
こころは素数と響きあって
なにも変わらない
余韻を残したまま
約束の半分と
まだ果たしていない半分と
頼りなく
ようやく息をしていたところ
触れることもままならず
はだしのままでふるえていた
いつか
傷のいたみにもゆるがぬ少女のつるぎに
怒りも
悲しみも
にくしみさえも抜け落ちて
ゆるやかに落ちていくみずうみの水
あいするもののために
それだけが残された半分で
闇の中に死んで
闇の中から生まれてきた
すべては
その胸にいだかれて
なにも変わらない
余韻を残したまま
夏の日の夜のみずうみの水
こころは素数と響きあって
手のひらにあざやかなひかりが
ずっと降り注いでいた
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