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オルゴール人形と大きなくじら

オルゴール人形は
ねじを巻いて
ねじを巻いて
舞っていた
くるくる
カタカタ
やさしくぎこちない金属音で
舞っていた
待っていた



オルゴール人形は
大きなくじらの絵本が大好きです
毎日くじらの絵本を眺め
夜になると絵本と一緒に眠りました
そしてまた朝陽がきらめくと大好きな絵本の世界へ

深い深い海の中を
大きなくじらが進みます
ザブーン
ザブーン
ゆったりとどこまでも果てない海の水を
ザブーン
飲み込んでは洗い流し
飲み込んでは潮を吹き
ザブーン
ザブーン
心の隅から隅までくじらは泳いでいきます
オルゴール人形はそれだけで胸がいっぱいになりした
くじらが潮を吹いた果てない海の水は
毎日
毎日
空に昇っていきました
蒼い 空にどんどん昇って
蒼い蒼い龍のよう昇って
やがて広い大地のあちらこちらに雨を降らせます
ぽつぽつぱらぱら
ぱらぱらぱらぱら
広い大地に雨が降る
ぽつぽつぱらぱら
ぱらぱらぱらぱら
オルゴール人形もやさしい雨に打たれます
大地にしっとり沁み込んで
愛しいいのちに沁み込んで
何十年も
何十年も
乾いて枯れていた小さな種からあたらしい双葉が芽吹きました


オルゴール人形は
ねじを巻いて
ねじを巻いて
舞っていた
くるくる
カタカタ
やさしくぎこちない金属音で
舞っていた
待っていた

やがて静かにうたいだす
ぽろぽろナミダも
イヤな気持も
海はぜんぶ受けとめてくれるよ
選り好みなんかせずに
押し返さずに
ぜんぶ抱き止めてくれるよ
くじらはすべてを洗い流し て
ザブーン
ザブーン
潮を吹く
ゆったりとどこまでも果てない
海と空のあいだを
ザブーン
ザブーン

こうしてオルゴール人形は今日もくじらと海を旅して
踊り疲れて
夜になると絵本にもたれて眠るのでした

ある晩
オルゴール人形は
海の中で泣いているわがままくじらの夢を見ました



半透明の
きらめく
カナシイ
わがままくじら
「ぼくは海洋に乗ってぼくの軌道をうたう」
そんなことを言いながら
わがままくじらは海を漂う小さな箱の中でぷかりぷかり浮いていました
「ぼくは
どんなものでも飲み込めるんだ
どんなうたでもうたえるんだ」
わがままくじらはこう言って
小さな箱の中で
海の女神に出会える日を指折り数えて待っていまし た
でもどんなに待っても海の女神は現れません
「こんなに待っているのに
どうして海の女神は現れないの
どうしてぼくに会いに来ないの」
わがままくじらは箱の中で力なく潮を吹きました

オルゴール人形はそんなくじらに
ちょっと可笑しくなって
それから
ちょっと心配になって
それから
ちょっと好きになって
うたをうたいました

ほんとうの海に雨が 降っているよ
ぽつぽつぱらぱら
やさしい雨だよ
ぽつぽつぱらぱら
そこで女神がうたっている

ねえくじらさん
聴こえているかしら
ただ波に揺られているだけならうたはどこにも響かない
女神さまにも届かない
箱の中を飛び出して
ほんとうの海でやさしい雨を降らせよう

オルゴール人形の雨 のようなナミダが
ぽつぽつぱらぱら
ふしぎなナミダがぱらぱらぱらぱら

「あたたかい。。。雨だ」
いくじのないくじらは空を見上げました
でも箱の中の空はいつもと同じ灰色です
くじらは箱の中を浮いていた
箱は頼り無く漂う
オルゴール人形は
ねじを巻いて
ねじを巻いて
舞っていた
待っていた
くるくる
くるくる
カタカタ
カタカタ
遠い遠い海洋の流れに乗って
この海を渡ろう
この
どこまでも果てない海の水を
ザブーン
飲み込んでは洗い流し
飲み込んでは潮を吹き
ザブーン
ザブーン

そうすれば
女神さまに会えるのに

そうすれば
ねじを巻かなくてもいいのに
ねじを巻かなくても


わがままくじらは暗い闇の中
ぼくはどうしてこんなと ころにいるんだろう
オルゴールの音が響きます
くじらは怖くて動けない
ぎこちない金属の身体
ぎこちない金属の音
重くて
軋んで
動けない
それでも
怖いはずなのに
くじらはナニカに護られて
温かくて
やがて雨が降ってきた
オルゴール人形の雨のようなナミダ
わがままくじらはナニカをしんじてナミダを握り締めて暗い大きな海に飛び出しました
するとオルゴール人形の頬に赤みが差して
ねじを巻かなくても
腕が動きだし
足が動きだし
やがて軽やかに踊りだしました
ねえやっと
じぶんで踊ることができたよ
ほんとうのうたをうたうことができたよ
ほんとうのうたを
心の隅から隅まで巡りめぐって
果てない海の水のようにうたをうたった


目が 覚めたらきらめく朝陽の中
ひろびろとした蒼い海と空のあいだを
おおきなくじらは潮を吹きながら海洋へと渡っていきました
女神をのせて
果てない海へ

おおきなくじらが潮を吹いた果てない海の水は
毎日
毎日
空に昇っていきました
蒼い空にどんどん昇って
蒼い蒼い龍のよう昇って
広い大地のあちらこちらに雨を降らせました
やがて雨は
大地にしっとり沁み込んで
愛しいいのちに沁み込んで
何十年も
何十年も
乾いて枯れていた小さな種からあたらしい双葉が芽吹きました







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3/10河内松原ポエトハウスにて行われる「詩の交差点」で
この「オルゴール人形と大きなくじら」ともう一つ詩を詠みます

二つの詩にはすこちゃんが身体表現をつけてくださいます^^
すこちゃんの表現はほんとうに心に沁みます


以下ご案内です☆


3/10
河内松原のポエトハウスで行われる「詩の交差点」

ゲスト出演者は紡さんとはるのふく+すこちゃんです
ゲスト出演者プロフィール
紡さんは詩の朗読とピアノ演奏の予定

後半はエントリー制の朗読、演奏、パフォーマンスです
ポエトハウスは声、音が美しく響くステキな場所です

ぜひ皆さまのエントリー、ご参加をお待ちいたしております^^

2:30開場
3:00開会
入場料300円
アクセス
以下ポエトハウスのHPから

・前半は自作詩の朗読活動をしている詩人2~3名による本格的なポエトリー・リーディング
・後半は自由参加による自作詩または自分の好きな詩の朗読。ラップ、アカペラ、弾き語りなど、形にとらわれないパフォーマンスもOK。1人持ち時間5分以内で、参加者の少ない場合時間内で数回まわることがあります。参加当日受付。
・カフェでは100円ドリンク(インスタントの紙コップでの)サービス行っています。
サロン収容人数15名(先着順)入場参加費1人300円
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by an_que_an531wan | 2013-03-01 21:15 |