カテゴリ:詩( 138 )

雪の銀河

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雪が降ったら犬を連れて

あなたは出て行くの


大きな棺の前で何を祈る

犬はただ寄り添って足もとでうずくまる



棺を開けたらそこは銀河

降った雪がすべて積もったような


分かち合った世界と

分け隔てられた世界に

雪が降る

しんしんと



見上げればそこは銀河

降った雪がすべて積もったような



天と地が逆さまになって

いつかは棺に送り出されたとしても


犬を連れてあなたが出た時間は

今もここにある






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お写真はゆゆさんの 「花のように」


ひさしぶりにおばあちゃまの夢を見ました
おばあちゃまに銀河の詩を
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by an_que_an531wan | 2013-07-19 22:58 |

銀河の雲

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空に流れる銀河の雲

重なるひとみの星の雲

誰の姿を探している

どこかに残骸が残ってはいないかと

繫がっているということと

離れ離れになるということの

境界を




繫がっていると傷つけるばかり

離れ離れになると寂しいばかり

どこかで聞いた物語りが

月のひかりに長く長く赤く

星のひかりに青く青く瞬く





誰かの姿を探していた

重なるひとみの星の間

空に流れる銀河の間

探して

探して

旅をして

どこまでも続く旅をして

よおく考えてみたら

それほどにはさびしくはない

さびしくはない

さびしくはないよ



たとえ傷つけても

傷つけられても



その残骸を繋げたら

哀しみでもなく

恨みでもなく

月のひかりに長く長く赤く

星のひかりに青く青く瞬く




いつか


空に流れる銀河の雲に


重なるひとみの星の間に









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お写真は ゆゆさんの作品
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by an_que_an531wan | 2013-07-08 23:52 |

オルゴール人形と大きなくじら

オルゴール人形は
ねじを巻いて
ねじを巻いて
舞っていた
くるくる
カタカタ
やさしくぎこちない金属音で
舞っていた
待っていた



オルゴール人形は
大きなくじらの絵本が大好きです
毎日くじらの絵本を眺め
夜になると絵本と一緒に眠りました
そしてまた朝陽がきらめくと大好きな絵本の世界へ

深い深い海の中を
大きなくじらが進みます
ザブーン
ザブーン
ゆったりとどこまでも果てない海の水を
ザブーン
飲み込んでは洗い流し
飲み込んでは潮を吹き
ザブーン
ザブーン
心の隅から隅までくじらは泳いでいきます
オルゴール人形はそれだけで胸がいっぱいになりした
くじらが潮を吹いた果てない海の水は
毎日
毎日
空に昇っていきました
蒼い 空にどんどん昇って
蒼い蒼い龍のよう昇って
やがて広い大地のあちらこちらに雨を降らせます
ぽつぽつぱらぱら
ぱらぱらぱらぱら
広い大地に雨が降る
ぽつぽつぱらぱら
ぱらぱらぱらぱら
オルゴール人形もやさしい雨に打たれます
大地にしっとり沁み込んで
愛しいいのちに沁み込んで
何十年も
何十年も
乾いて枯れていた小さな種からあたらしい双葉が芽吹きました


オルゴール人形は
ねじを巻いて
ねじを巻いて
舞っていた
くるくる
カタカタ
やさしくぎこちない金属音で
舞っていた
待っていた

やがて静かにうたいだす
ぽろぽろナミダも
イヤな気持も
海はぜんぶ受けとめてくれるよ
選り好みなんかせずに
押し返さずに
ぜんぶ抱き止めてくれるよ
くじらはすべてを洗い流し て
ザブーン
ザブーン
潮を吹く
ゆったりとどこまでも果てない
海と空のあいだを
ザブーン
ザブーン

こうしてオルゴール人形は今日もくじらと海を旅して
踊り疲れて
夜になると絵本にもたれて眠るのでした

ある晩
オルゴール人形は
海の中で泣いているわがままくじらの夢を見ました



半透明の
きらめく
カナシイ
わがままくじら
「ぼくは海洋に乗ってぼくの軌道をうたう」
そんなことを言いながら
わがままくじらは海を漂う小さな箱の中でぷかりぷかり浮いていました
「ぼくは
どんなものでも飲み込めるんだ
どんなうたでもうたえるんだ」
わがままくじらはこう言って
小さな箱の中で
海の女神に出会える日を指折り数えて待っていまし た
でもどんなに待っても海の女神は現れません
「こんなに待っているのに
どうして海の女神は現れないの
どうしてぼくに会いに来ないの」
わがままくじらは箱の中で力なく潮を吹きました

オルゴール人形はそんなくじらに
ちょっと可笑しくなって
それから
ちょっと心配になって
それから
ちょっと好きになって
うたをうたいました

ほんとうの海に雨が 降っているよ
ぽつぽつぱらぱら
やさしい雨だよ
ぽつぽつぱらぱら
そこで女神がうたっている

ねえくじらさん
聴こえているかしら
ただ波に揺られているだけならうたはどこにも響かない
女神さまにも届かない
箱の中を飛び出して
ほんとうの海でやさしい雨を降らせよう

オルゴール人形の雨 のようなナミダが
ぽつぽつぱらぱら
ふしぎなナミダがぱらぱらぱらぱら

「あたたかい。。。雨だ」
いくじのないくじらは空を見上げました
でも箱の中の空はいつもと同じ灰色です
くじらは箱の中を浮いていた
箱は頼り無く漂う
オルゴール人形は
ねじを巻いて
ねじを巻いて
舞っていた
待っていた
くるくる
くるくる
カタカタ
カタカタ
遠い遠い海洋の流れに乗って
この海を渡ろう
この
どこまでも果てない海の水を
ザブーン
飲み込んでは洗い流し
飲み込んでは潮を吹き
ザブーン
ザブーン

そうすれば
女神さまに会えるのに

そうすれば
ねじを巻かなくてもいいのに
ねじを巻かなくても


わがままくじらは暗い闇の中
ぼくはどうしてこんなと ころにいるんだろう
オルゴールの音が響きます
くじらは怖くて動けない
ぎこちない金属の身体
ぎこちない金属の音
重くて
軋んで
動けない
それでも
怖いはずなのに
くじらはナニカに護られて
温かくて
やがて雨が降ってきた
オルゴール人形の雨のようなナミダ
わがままくじらはナニカをしんじてナミダを握り締めて暗い大きな海に飛び出しました
するとオルゴール人形の頬に赤みが差して
ねじを巻かなくても
腕が動きだし
足が動きだし
やがて軽やかに踊りだしました
ねえやっと
じぶんで踊ることができたよ
ほんとうのうたをうたうことができたよ
ほんとうのうたを
心の隅から隅まで巡りめぐって
果てない海の水のようにうたをうたった


目が 覚めたらきらめく朝陽の中
ひろびろとした蒼い海と空のあいだを
おおきなくじらは潮を吹きながら海洋へと渡っていきました
女神をのせて
果てない海へ

おおきなくじらが潮を吹いた果てない海の水は
毎日
毎日
空に昇っていきました
蒼い空にどんどん昇って
蒼い蒼い龍のよう昇って
広い大地のあちらこちらに雨を降らせました
やがて雨は
大地にしっとり沁み込んで
愛しいいのちに沁み込んで
何十年も
何十年も
乾いて枯れていた小さな種からあたらしい双葉が芽吹きました







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3/10河内松原ポエトハウスにて行われる「詩の交差点」で
この「オルゴール人形と大きなくじら」ともう一つ詩を詠みます

二つの詩にはすこちゃんが身体表現をつけてくださいます^^
すこちゃんの表現はほんとうに心に沁みます


以下ご案内です☆


3/10
河内松原のポエトハウスで行われる「詩の交差点」

ゲスト出演者は紡さんとはるのふく+すこちゃんです
ゲスト出演者プロフィール
紡さんは詩の朗読とピアノ演奏の予定

後半はエントリー制の朗読、演奏、パフォーマンスです
ポエトハウスは声、音が美しく響くステキな場所です

ぜひ皆さまのエントリー、ご参加をお待ちいたしております^^

2:30開場
3:00開会
入場料300円
アクセス
以下ポエトハウスのHPから

・前半は自作詩の朗読活動をしている詩人2~3名による本格的なポエトリー・リーディング
・後半は自由参加による自作詩または自分の好きな詩の朗読。ラップ、アカペラ、弾き語りなど、形にとらわれないパフォーマンスもOK。1人持ち時間5分以内で、参加者の少ない場合時間内で数回まわることがあります。参加当日受付。
・カフェでは100円ドリンク(インスタントの紙コップでの)サービス行っています。
サロン収容人数15名(先着順)入場参加費1人300円
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by an_que_an531wan | 2013-03-01 21:15 |

星とコオロギ 

コオロギは夢を見る
それは硬質で決してやさしい柔らかい夢ではない
けれど
コオロギは羽根をふるわせた
コオロギの頭上では満天の星が降る
夢の中で
コオロギは祭壇の足もとにいた
祭壇の捧げ物は消費されて忘れ去られる
すべてが簡単に消費されて
すべてが簡単に忘れ去られていった
コオロギは
自分は捧げ物ではないことを忘れなかった
それでも
頭上の星がうつくしいことを
どれほど見上げてもうつくしいことを夢の中で知って
羽根をふるわせた
それは硬質で決してやさしい柔らかい夢ではなかったけれど
コオロギはしあわせだった
コオロギは決して
忘れなかった
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by an_que_an531wan | 2013-01-08 01:12 |

星とコオロギ




星降るふゆのうつくしさ
しろわいんで乾杯したらコオロギはギィと鳴いた
ぼくは耳の奥までしろわいんを満たしてそのオトを閉ぢ込める
コルク栓をして
ひとさし指でしっかり押さえて

星降るふゆはうつくしい


コオロギはもいちどギィと鳴いた
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by an_que_an531wan | 2013-01-05 23:22 |

あたらしいひかり

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あたらしいひかりがゆらめく水面に

失われた日々を包んだ景色を置いて

祈りを捧げた小さな指と

しんじつを含んだつぶやきを

果てしない夜の残酷ないたみに美しい彩りを添えて

そこから開いてゆくものをしんじて





あたらしいひかりがゆらめく水面に

息を飲むような景色を思って

祈りを捧げたたしかな指と

しんじつを含んだつぶやきを

果てしない夜の哀しみの深さだけ

しあわせはあるのだと教えてくれた







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お写真はshinobuさんの作品
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by an_que_an531wan | 2013-01-04 14:53 |

白い小鳥

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白い花びらを散らした小鳥に

春の陽がふんわり

眠っていないで

そっと目を覚まして

聴いたこともないあたらしい声が

あたらしい声が聴こえてきたよ



白い花びらを散らした小鳥は

春の空にふんわり

目覚めた羽根はそっと高く 高く

雲の間の向こうから

聴いたこともないあたらしいうたが

すべてを変えてゆくあたらしいうたが聴こえてきたよ







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お写真はJILLEさんの作品


新しい年がみなさまにとって、心に残る素晴らしい一年となりますように
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by an_que_an531wan | 2013-01-02 22:32 |

アマオト

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タノシイコトが過ぎてゆく

タノシイコトが来るために

おやすみなさい

おやすみなさい

アマオトがしずかに髪をなでてくれるよ

あたたかい夢の中どんなスガタになってるだろ

もういちど

あたたかい声を思い出す

本当はどんなスガタだったかな

おやすみなさい

おやすみなさい

タノシイコトが来るために

アマオトがしずかに髪をなでてくれるよ







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お写真はshinobuさんの作品

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by an_que_an531wan | 2012-12-15 23:28 |

冬の夜の物語

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冬の蝶は飛べないけれど
物語をつくる
カナシイやさしい物語
花たちはふるえながら待ってる
けなげに萎れずに待っている
飛べないけれど
願いを込めて
つめたいつめたい雨に打たれる夜
その物語がいのちを護ることをしんじて
やさしい愛しい物語
花たちは黒雲のもとでその色合いをかがやかせて
けなげにくびを上げて

微かな月のひかり



冬の蝶はいま

羽をひろげたかしら



花たちはいっせいにふるえながら微笑んだ







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お写真はJILLEさんの作品

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by an_que_an531wan | 2012-12-10 22:28 |

永劫の孤独



つめたい
つめたい
つめたい髪と色を失った瞳をそっとくるんで抱擁して
あたたかい
あたたかい
あたたかい血がもう一度
もう一度流れてくるように
いいえ
変らず流れている
わたしたちは
にんげんだから




みずからを焼き尽くす炎の凶器で人を踏みにじる哀れな虫
つめたい
つめたい
つめたい闇に葬られても自らの炎に咽ぶ
地獄の責め苦の中でもその意味をわかろうとしない
哀れな
哀れな
哀れな虫
あたたかい血が流れることはもう二度とないのかしら
永劫の孤独

残酷というのはそういうことを言うのだ





わたしたちの瞳は色褪せてもまだ
互いを映すことができる
たとえ記憶を失ってもまた
互いを知ることができる

わ た し た ち は  に ん げ ん  だ か ら
そ れ は し あ わ せ  だ  ね ?




わたしたちは残酷に屈しないと決めた
傷ついた
深く傷ついた
それでも哀れな虫の残酷になど屈しない

哀れな虫は永劫にたった一人
焼き尽くす炎と冷酷な闇に苛まされる孤独
その叫び声から逃れることはできない
哀れな姿で這い回る虫


わたしたちはたった一人のように見えて
一人ではなかった
わたしたちは に ん げ ん なのだ


わたしたちの創造を誰にも止めることはできない

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by an_que_an531wan | 2012-12-07 00:02 |