金魚と花火


くらやみに湿気を抱えた夜の夏

その背の後ろは金魚鉢

おばあさまの夢がすいっとゆく

いちばん素敵に泳ぐのよ

赤子のように微笑んで

すいすいすいと微笑んで

それは素敵なおばあさま

95ねんは長かったですか

私にはとても追いつけないほどの

山のような哀しみも

いつのまにか花火のように消えました

いまはねえ

いちばん素敵に泳ぐのよ

この世にお別れするのではない

この世がどれほど素晴らしかったか

この世がどれほど楽しいものか

いろいろ教えてあげたいけれど

まだもう少しお預けや

まだまだいろいろカナシんで

まだまだたくさんヨロコんで

まだまだたっぷり迷い道

いったりきたりしてなさい

いつのまにか花火のようにそれらも消えてゆくけれど

すいすいすいと微笑んで

赤子のように微笑んで

いつのまにか花火のように

いちばん素敵な花火のように

この世を去ってゆきました

この世を飾ってゆきました








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きょうはみんながダイスキだった近所のつじもとのおばあちゃまのお通夜でした
それはそれは赤子のようにやさしい可愛いお顔でした
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by an_que_an531wan | 2011-08-29 23:20 |


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